電気代高騰にどう備える?2026年版・省エネ補助金の選び方

2026年10月、政府による電気・ガス料金の負担軽減支援が終了します。対象は2026年7月から9月使用分までで、10月以降の請求からは、多くの企業で電気代・ガス代の負担が実感として増えることになりそうです。今のところ、支援の再開や延長についても未定です。
一方で、企業の省エネ投資そのものを後押しする補助金については、政府は引き続き力を入れています。「空調や照明を何とかしたいけれど、設備の入れ替えにはお金がかかる」と感じている方にとっては、まさに今知っておきたい制度です。ただし、補助金の種類は思っている以上に多く、「結局どれを使えばいいのか分からない」という声もよく聞きます。
この記事では、2026年時点の省エネ補助金の全体像を、仕組みごとにわかりやすく紹介します。
なぜ今、省エネへの投資に手厚い補助があるのか?
電気代高騰の負担軽減と脱炭素の後押し
電気代の高騰は、多くの企業にとって頭の痛い問題です。
燃料価格の変動や再生可能エネルギーの導入コストなどが影響し、電気料金は以前と比べて大きく上昇しました。総務省や経済産業省も、企業のエネルギーコスト削減と脱炭素の両立を後押しするため、省エネ関連の補助金に力を入れています。
省エネの最大のポイントは空調・照明

(図1:建物の電力消費の内訳)
中でも空調・照明は狙い目です。オフィスや店舗などの建物では、空調・照明だけで電力消費全体の7割以上を占めると言われています。裏を返せば、この2つを賢く使うだけで、電気代の負担を大きく減らせる余地があることになります。
国が示す「データ駆動型」の省エネへの方針転換
さらに2026年3月、経済産業省は新たな指針として「デジタル・AI技術による省エネ・生産性向上に向けた手引き」を公表しました。
これは、これまでの“設備を新しく買い替える”省エネだけでなく、AIやセンサーを使って今ある設備を賢く動かす“データ駆動型“の省エネを後押ししていく国の方針を示したものです。省エネ補助金の中身も、この流れに合わせた形が広がりつつあります。
▼『デジタル・AI技術による省エネ・生産性向上に向けた手引き』を公表しました(経済産業省)
AIが快適な空調設定を自動制御するAIrux8

(図2:AIrux8導入前の課題と導入後の効果)
実際、AIやセンサーを使って空調・照明を自動制御するサービスも登場しています。その一つが、トラース・オン・プロダクトが提供する「AIrux8」です。
天井に設置したセンサーで人の活動量を検知するだけでなく、室内外の温度データもあわせて取得し、消費電力を抑えながら快適性も保てる空調設定をAIが自動で導き出すことで、設備を入れ替えることなく、今ある空調・照明のまま無駄な運転を減らせるのが特徴です。

補助金は、今後も続く見込み
今回ご紹介する「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」は、年度をまたいで形を変えながら継続されてきた制度です。第3次公募は2026年9月28日で終了となりましたが、2026年度(令和7年度補正予算)だけでも複数回の公募が行われました。
さらに経済産業省は、2027年度(令和9年度)の概算要求の中にも同じ名前の補助金を挙げており、来年度以降も制度が続く可能性が十分にあります。ただし、あくまで予算要求の段階であり、確定した情報ではない点にはご注意ください。
電気・ガス料金への直接的な支援が縮小する一方で、企業が自ら省エネに取り組むことへの後押しは、今後も続いていくと見てよさそうです。
▼令和9年度経済産業省概算要求のPR資料一覧:エネルギー対策特別会計(経済産業省)
省エネ補助金には、大きく分けて2つのタイプがある

(図3:省エネ補助金の2つのタイプ)
補助金の対象設備を見てみると、大きく2つのタイプに分けられることが分かります。
たとえるなら、古くなったエアコンへの向き合い方に似ています。一つは、エアコン本体を最新の高効率モデルに買い替える方法。もう一つは、今使っているエアコンはそのままに、スマートリモコンやセンサーを付けて、人がいない時間は自動で運転を弱めるなど、賢く動かす方法です。省エネ補助金にも、これと同じ考え方の違いがあります。
ここでは先ほどの「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」(資源エネルギー庁)を例に見てみましょう。この制度の中にも、先ほどの2つのタイプがそれぞれ用意されています。
「設備単位型」―設備を丸ごと入れ替える
一つ目は「設備単位型」と呼ばれるタイプです。
高効率な空調設備や制御機能付きのLED照明、高性能な変圧器やボイラーなど、対象となる設備そのものを新しいものに入れ替える場合に使えます。補助率は、標準的な「従来枠」で設備費の3分の1(上限1億円)ですが、より高性能な設備を対象にした「トップ性能枠」など別の区分では補助率や上限額が異なります。
つまり同じ「設備単位型」でも、どの区分で申請するかによって補助率は変わる、という点は覚えておきたいポイントです。
「エネルギー需要最適化型」―動かし方を賢くする
もう一つは「エネルギー需要最適化型」と呼ばれるタイプです。
こちらは設備そのものよりも「動かし方」を賢くする仕組み、いわゆるEMS(エネルギーマネジメントシステム)の導入が対象です。使用量を見える化する基本的なタイプから、計測データをもとに制御するタイプ、さらにAIが稼働状況を学習してムダを自動で見つけ、最適なタイミングで空調や照明を動かすタイプまで、いくつかの段階があります。補助率は中小企業で2分の1、大企業で3分の1、上限はどちらも1億円と、設備単位型よりも手厚く設定されているのが特徴です。
▼令和7年度補正予算『省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金』『省エネルギー投資促進支援事業費補助金』の公募開始について(資源エネルギー庁)
このように、補助率や上限額は「どの制度か」だけでなく「同じ制度の中のどの区分か」によっても変わり、しかも年度ごとに見直されます。ここでご紹介した数字はあくまで一例として捉え、実際に申請を検討する際は、必ず資源エネルギー庁のサイトで最新の区分と補助率をご確認ください。
「設備を買い替える余裕はないけれど、今ある空調や照明をもっと賢く動かしたい」という場合にも使える補助金があることは、意外と知られていない気づきかもしれません。
国の制度だけではない―見逃せない「自治体の補助金」
ここまで紹介してきたのは国(資源エネルギー庁)の制度ですが、都道府県や市区町村が独自に用意している省エネ補助金もあります。
たとえば東京都では、クール・ネット東京(東京都環境公社)が「需給最適化に向けたエネルギーマネジメント推進事業」を実施しており、エネルギー使用量の見える化や、遠隔・自動制御による設備の最適化が対象経費に含まれています。国のエネルギー需要最適化型と同じく、AIによる空調・照明の自動制御に近い取り組みも相談できる可能性があります。
神奈川県や大阪府、埼玉県、福岡市など、他の都道府県・市区町村にも同様の省エネ設備補助金が用意されています。ただし、こうした自治体の補助金は人気が高く、予算の上限に達した時点で年度の途中でも受付を終了してしまう「先着順」の制度が少なくありません。国の制度以上に「見つけたときが使いどき」という側面が強いため、自社の本社や事業所がある自治体のホームページを定期的にチェックしておくことをおすすめします。
▼需給最適化に向けたエネルギーマネジメント推進事業(クール・ネット東京)
補助金を使う前に、まず「今どれだけ使っているか」を知る
ここまで、国と自治体、それぞれの補助金の仕組みを紹介してきました。
実際に申請を検討する際は、いきなり設備の入れ替えやEMSの導入先を決めるのではなく、まず自社が今どれだけのエネルギーを、どこで使っているのかを把握するところから始めるのがおすすめです。国や自治体には、専門家による省エネ診断を受けられる支援制度もあり、こうした診断結果は、数ある補助金の中からどれが自社に合っているかを判断する材料にもなります。省エネ診断についても、資源エネルギー庁や各自治体のサイトで最新の実施状況を確認できます。
まとめ:補助金を「上手に使う」ための3つのポイント
ここまで、省エネ補助金の仕組みを見てきました。最後に、実際に活用する際に押さえておきたいポイントを整理します。
・自社の状況に合わせて、「設備単位型」と「エネルギー需要最適化型」のどちらが向いているかを見極める
・国の補助金は年度内に複数回、自治体の補助金は先着順で公募されることが多いため、早めに動く
・国の制度だけでなく自治体独自の補助金もあわせてチェックし、特に予算に達し次第終了しがちな自治体の補助金は、こまめな情報確認を心がける
補助金は、公募の時期や対象条件が年に複数回見直され、実施回によって内容が変わることも珍しくありません。実際に申請を検討する際は、必ず資源エネルギー庁や各自治体の公式サイトで最新の情報をご確認ください。
「賢く動かす」省エネを実現する選択肢「AIrux8」

(図4:AIrux8導入による電力削減実績)
ここまでご紹介した「エネルギー需要最適化型」の考え方――設備を買い替えなくても、動かし方を賢くすることで省エネを実現する――を、実際のサービスとして体現しているのが、冒頭でもご紹介したトラース・オン・プロダクトのAIrux8です。
AIrux8は、天井に設置したセンサー「Node(ノード)」を通じて、施設内の人の活動量や空間の温度といった環境データを取得し、独自のアルゴリズムによって空調の温度変化にともなうエネルギー消費量を予測することで、消費電力を最小限に抑えながら快適性も保てる空調設定をAIが自動で導き出す電力削減システムです。導入時に特別な知識は必要なく、事前調査からAIのチューニングまで、導入はすべてトラース・オン・プロダクトが担当します。
実際の導入効果として、あるホテルでは照明で約33%、空調で約41%の電力削減が確認されています。
▼スマートホテルとは?ホテル業界のIoT技術を活用した業務効率化の取り組み
また、工場への導入事例では、事務所37.7%、休憩室50.9%、作業場22.1%と、工場全体で29.6%の電力削減を実現しています。
▼【省エネ事例紹介】電力削減29.6%を実現 株式会社クレア慶徳工場へのAIrux8の導入結果
常に人がいる事務所、使用する時間帯がほぼ決まっている休憩室、複数の空調を抱える広い売り場・作業場など、施設のタイプによって効果的な制御の仕方が異なる点も、AIrux8ならではの強みです。
▼電力削減・省エネを実現する「AIrux8」が効果を発揮する「3つの場所」

(図5:見えなかった「無駄な運転」をAIが自動でカット)
また、ある百貨店の本社ビルへの導入では、窓際や部屋ごとに設置された個別エアコンを人の手で細かく調整するよりも、ビル全体の空調をAIが自動で最適に調整するほうが効果的だった、との結果も出ています。人の目では気づきにくい「無駄な稼働」を見つけ、機械的に判断できることこそ、AIによる省エネの強みだと言えます。
▼大手老舗百貨店オフィスへのAIrux8導入 空調電力25%削減を実現できた理由
トラース・オン・プロダクトでは、IoTゲートウェイの技術を土台に、AIrux8をはじめとした機器の選定・設計から導入・運用まで一気通貫でサポートするIoTソリューションをご提供しています。
「電気代を抑えたいが、何から手をつければよいか分からない」、「使えそうな補助金があるか一緒に検討してほしい」といったご相談も承っておりますので、設備の入れ替えを伴わない省エネ対策にご関心がある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
お役立ち資料

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