【省エネ事例紹介】電力削減29.6%を実現 株式会社クレア慶徳工場へのAIrux8の導入結果
当社、株式会社トラース・オン・プロダクトは2023年11月、AIによる電力削減ソリューション「AIrux8(エーアイラックスエイト)」を、株式会社クレア 慶徳工場へ導入しました。この記事では、その取り組み内容と結果についてご紹介します。
なお結果については、2月15日にIRでも公表しています。こちらのリンクをご覧ください。
▼AI電力削減ソリューション「AIrux8」、導入工場にて29.6%の電力削減を実現(PDF)
電力削減ソリューション「AIrux8」とは?
AIrux8とは、様々なIoT機器をAIによって自動制御し、空調と照明の電力使用量を削減する集中コントローラー装置です。電力消費を実状況に合わせて適正値に自動制御し、人の混雑状況に応じて環境を最適化することができます。
AIrux8の仕組み
[図1:AIrux8の画像]
AIrux8は、大きく分けてエアコンと照明のコントロールを行います。まず、導入施設の天井に「Node(ノード)」と呼ばれるセンサーを組み込みます。Node(ノード)を通して、施設内の混雑状況や不在状況等のデータを取得します。次にAIでそのデータを解析します。解析結果をもとに空調や照明を自動で調整し、無駄な電力をカットして省エネにつなげます。(照明については、調光照明に限ります。)
エアコンの場合、まずエアコンの室内温度と設定温度をチェックし、データとして取得します。次に外気温をインターネットの情報から取得します。さらにNode(ノード)のセンサーによってオフィス内の状況を把握します。これらのデータをクラウド上で解析し、その結果によってAIrux8がエアコンのON/OFF、温度調節、風量調節を行います。
照明の場合は、お客様の状況に応じて、施設内に設置された調光照明設備と通信し、各照明のエリアグループ毎に時間帯、営業稼働日、季節によって照明の明るさを自動制御します。
このように、外気温に合わせて緩やかに温度調整を行うことができ、また、人感センサーにより人の動きをチェックし、空間の混雑状況に合わせた自動制御を行うことができるため、消費電力を大幅に抑えることが可能となります。
製品の詳しい内容については、以下のリンクもご覧ください。
また、AIrux8がどのように電気代を削減しているのか?について、こちらの記事でも詳しくご紹介しています。
省エネ実現のために、今回の取り組みで行ったこととその結果
[図2:クレア慶徳工場の画像]
ここでは、クレア慶徳工場への導入にあたって行ったことをご紹介します。
導入前のご相談からご提案まで
[図3:クレア慶徳工場・工場内の画像]
電気料金などエネルギー価格の高騰が続く中、2023年4月、福島県喜多方市にある株式会社クレア 慶徳工場におけるエネルギーコスト削減の課題について当社にご相談をいただきました。
課題の解決に向けて当社は、クレア慶徳工場の施設図面や空調設備等の各種情報に基づきAIrux8のROI(投資利益率)検証を行い、導入シミュレーションを提案。その後現地調査を行い、AIrux8による空調の制御可否、必要なデバイスの構成・設置方法等を含めた最終提案を行いました。
その結果、AIrux8で空調設備の自動制御を行うこととし、施設内で働く工場作業員や従業員の皆様が快適に作業を行えるよう、自動調整で適温を保ちながら、空調の消費電力を抑えることを目標に、導入が決まりました。
なお、導入前のご相談からご提案までの経緯については、2023年9月に公表したプレスリリースもご覧ください。
▼AI電力削減ソリューション「AIrux8」、戦略販売パートナー加賀電子がクレア慶徳工場へ導入
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000026.000062901.html
2023年11月、クレア慶徳工場でAIrux8の設置を開始しました。具体的な設置場所として「事務所」「休憩室」「工場内作業場」の3か所を選定し、それぞれの場所で「AIrux8導入前」の5日間と「AIrux8導入後」の5日間で効果を計測しました。
導入結果①:事務所(AIrux8導入前と導入後)
[図4:事務所-導入前の電力使用状況の画像]
AIrux8導入前(図4)、事務所では朝6時ごろ出社された従業員の方により、空調がONにされ、稼働し始めます。設定温度は25℃前後。その後空調は終日、最初に設定された温度と風量で稼働していました。
[図5:事務所-導入後の電力使用状況の画像]
AIrux8導入後(図5)。AIrux8は外気温を感知し、空調を最適な設定温度と判断した22℃に設定し、最適な風量に制御しました。その結果、消費エネルギーが削減され(画像赤丸部分)、事務所で過ごす人にとって快適な環境を維持。効果計測期間の電力削減量は37.7%となりました。
導入結果②:休憩室(AIrux8導入前と導入後)
[図6:休憩室-導入前の電力使用状況の画像]
休憩室は、お昼の食事時や作業の合間の休憩時間に使用されます。AIrux8導入前(図6)は、事務所や作業場の空調と同じ稼働となっており、休憩時間以外でも空調が稼働していました。
[図7:休憩室-導入後の電力使用状況の画像]
AIrux8導入後(図7)。AIrux8では、空調をあらかじめ決められた時間に決められた温度・風量で稼働させることが可能です。この場合、AIrux8は休憩時間が始まる少し前に部屋を暖めるよう空調を稼働させ、人感センサーで人がいなくなったと判明したら空調をOFFにしました。その結果、消費エネルギーが削減され(画像赤丸部分)、電力削減量は50.9%となり、おおよそ半分の電力削減となりました。
導入結果③:工場内作業場(AIrux8導入前と導入後)
[図8:工場内作業場-導入前の電力使用状況の画像]
最後に工場内の作業場への導入です。画像の青塗りのグラフ部分は、人感センサーによる人の検知部分となります。日中は作業場で作業する人が多数であることがわかります。18時以降の夜間は、人数は少ないですが作業をする人がいます。空調は人が多い時も少ない時も、同じ稼働状況でした。
[図9:工場内作業場-導入後の電力使用状況の画像]
AIrux8導入後(図9)。AIrux8は、人感センサーによって人の活動量を感知し、空調を人の活動量に合わせた最適な設定温度と風量に制御しました。作業場での電力削減量は22.1%となりました。
導入結果のまとめ
以上のように、導入したすべての場所で電力削減が実現しました。クレア慶徳工場全体では、「29.6%の電力削減」となりました。
お客様の声(株式会社クレア 鈴木様にインタビュー)
最後に、AIrux8を導入した株式会社クレア 専務取締役 鈴木様にお話を伺いました。
『私たちの課題は、原油価格の高騰に伴った30%の電気料金値上げでした。対策を検討していた際に加賀電子株式会社様からご紹介を受けて「AIrux8」のことを知りました。
トラース・オン・プロダクトのご担当者様に工場に来ていただきシミュレーションを行ったところ、30%の削減の見込みがあるという提案をいただき「AIrux8」の導入を決めましたが、正直なところ半信半疑でありました。
実際に利用してみて大きな価値を感じたことは、今まで見えなかったもの、気づかなかったものがデータとして見える化されたことでした。データというのはいろいろなことを教えてくれます。見えれば対策は可能となります。例えば、導入した工場内のある作業場は、設備の性質により一部に熱源が存在しており、この温度を下げるためだけに多大なエネルギーを消費していました。また、室内の面積に対してエアコンのパワーがマッチしていないスペースがあることも判明、エアコンが温度を上げよう、或いは下げようとして継続的にフル回転の状況も確認できました。逆にこの熱源を有効利用できないかという発想も出てきています。
私たちクレア慶徳工場は、費用対効果という考え方だけではなく、地球環境に対して待ったなしの現状において、未来を考慮し今後もエネルギーについて真剣に向き合い積極的に取り組んで参ります。』
電気料金の値上げへの対策としてだけでなく、地球環境を考慮した活動へのサポート役としても、AIrux8は効果を発揮します。この記事を読んで興味を持たれた方は、お気軽にお問合せください。
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