介護施設の人手不足を解消する「ロボット×IoTデバイス」活用法

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人手不足が深刻化する、介護業界。スタッフの過労や介護事故の発生など様々な問題が発生しており、少子高齢化のいま、解決が急がれています。その方法として注目を浴びるのが、「ロボット×IoTデバイス」です。本記事では、ロボットやIoTが介護施設にどのように導入されるのか、活用方法をご紹介します。

人手不足に重労働。介護施設で起きる問題とは?

介護業界では、人手不足とスタッフの過労・負担が大きな問題となっていることは周知の事実かと思います。その原因は、少子高齢化による「介護する人の不足」と「介護が必要な人の増加」が主で、その他にも例えば報告書など書類をすべて手書きで作成・管理している施設が多いなど、業務の非効率性の高さが問題になっています。

また、介護施設では入居者の転倒によるケガ、体調不良などの介護事故や問題が発生する危険性が常にあります。こうしたリスクを軽減し、回避する対策が欠かせません。

2018年8月にも、エアコンの故障によって熱中症を引き起こしたとみられる高齢者の死亡事故が発生しており、室温管理や入居者の体調管理など徹底して行う必要があります。

介護施設では以下のような事故・問題が起こる可能性があるため、常に注意が必要です。

<介護施設における事故・問題例>
・歩行時、入浴時などの「転倒」

・階段やベッド、車椅子からの「転落」
・免疫力低下による、体調不良
・誤嚥・誤飲
・室温管理不足による、熱中症などの異変
・薬の投与間違い

介護施設を変える、「ロボット×IoTデバイス」の活用

現在、こうした介護施設での課題・問題を解決するためにロボットとIoTの活用が注目されています。

ロボット・IoTには、人が行う仕事を代替し人的労働力を削減する技術や、従来の業務フローをより効率化する技術があります。以下に、介護施設におけるこれからのロボット・IoTの活用方法についてご紹介していきます。

パワーアシストロボットで、移乗介助を簡単に

従来は、ベッドから車椅子へ、車椅子からトイレへなどの入居者の移乗は人力で行っていました。しかし、移乗は入居者の体重を支えなくてはならないため、介護スタッフが腰を痛めてしまったり、移乗中に転落事故が発生するケースもありました。

そこで、電動アクチュエーターや人工筋肉などを用いて装着者の力を補助する、パワーアシストスーツを導入することで、介護スタッフの負担を減らし、入居者を安全に移乗させることができるようになります。

パワーアシストロボットには、ベッドや浴室などに取り付けられた非装着型のタイプも存在し、同様に補助が可能です。

ロボットで荷物運搬・歩行支援

物品の運搬や入居者の歩行支援にもロボットが活用できます。物品の運搬の場合、目的地までセンサーを使って自動的に人や障害物を避けながら進む「ホスピタリティロボット」などが活用できます。

これによりロボットに人間が行っていた業務を代替させることができるため、業務効率を高めることができます。また、IoT化された歩行アシストカートを用いれば、搭載されたセンサーを通じて歩行状況や稼働状況のデータを取得し、転倒防止や異常検知などに役立てることができます。

センサーで24時間 入居者の健康状態を見守る

入居者の健康状態をチェックしたり異常事態を検知したりするセンサーを施設の様々な箇所に設置し、IoTコントローラーで一元管理することで日々の健康管理や、ケガ・急な体調不良などの万が一の事態に対する迅速な対応を可能にできます。

具体的には、ベッドに設置した感圧センサーで夜中にベッドを離れている入居者がいた場合、スタッフにリアルタイムで通知するよう設定すれば、夜間の巡回作業を簡略化できます。

あるいは、睡眠状態を検知するセンサーで、万が一異常が合った場合にスタッフや家族へアラート通知を発信することも可能です。他にも、ドアや窓などの開閉状況を一箇にまとめて取得しチェックするセンサーを設置することもできます。これは、認知症や夢遊病を患う入居者の安全を守ることにも繋がります。

また、IoTを搭載したスマートエアコンや、室温センサーとIoTゲートウェイに接続されたエアコンを用いることで、24時間自動的に最適な室温を保つよう設定するよう、自動で対策をとっておくことも可能です。

緊急時どこからでも使えるナースコール

また、従来のナースコールはベッドや壁に設置されていることがほとんどで、持ち運びができませんでした。

IoTを活用すれば、入居者が施設内のどこからでもボタンを押した位置までスタッフを呼び出すことができるようになり、万が一の事態に備えられます。

情報共有システムの構築による、業務効率化

介護施設では、それぞれの入居者によって必要な薬や口にできる食事、求められている介助の仕方などが異なるため、細かな情報共有が欠かせません。

また、昼勤・夜勤の交代もあるため、発生したトラブルや事故、申し送り事項などの共有事項を、漏れなく伝達する必要があります。

従来はこれらの情報管理・共有に紙の書類が用いられているケースが多く、情報を探し新しいスタッフへの引き継ぎを行う際に手間・時間が掛かっていました。そこで、情報管理をすべて電子化し、スマートフォンやウェアラブル端末を通じてどこでも共有事項を記録できる環境を整えれば、情報の伝達漏れや情報検索の手間を大きく省くことができます。

また、情報が電子化されることで、例えば薬の服用時間になったらスタッフへ薬の種類と処方量、処方対象の入居者を通知するなど、様々な業務効率化の工夫が実施できるようになります。

IoTで施設のセキュリティを強化する

施錠状況をスマートフォンで確認し、遠隔操作で施錠・解錠もできる「スマートロック」の導入や、警備ロボットの導入で見回り・点検などの業務を効率化することができます。

このような施策は施設のセキュリティ向上と防犯対策にもなるため、入居者の安心・安全にも繋がります。

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