STB(セットトップボックス)のビジネス活用・導入事例まとめ

2022年4月26日
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STB(セットトップボックス)のビジネス活用・導入事例まとめ

放送受信・視聴だけでなく、その特徴を活かし、機能特化型コンピュータとしてあらゆるビジネスシーンで活用が増えているSTB(セットトップボックス)。

今回の記事では、ビジネスシーンでSTB(セットトップボックス)がどのように活用されているかさまざまな導入事例をご紹介いたします。

はじめに:STB(セットトップボックス)とは?

STB(セットトップボックス)は、テレビ放送や衛星放送、VODなどの様々な形式の映像信号を受信し、信号を変換してモニター等で表示できるよう配信する機器です。

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近年は、STB本来の持つ『映像配信機能』に加え、機器制御機能や映像のスクランブル解除(暗号解除)機能、ゲーム・カラオケ機能などさまざまな機能を備えたものが登場しており、利用シーンごとに合わせて機能がカスタマイズされた製品が販売されることが一般的です。

このような背景から、STBはビジネスシーンでもさまざまな場面で活躍をしていますが、普段なかなか表立って目にすることのない機器であるために、STBを導入したことがない方にとってはその利用シーンや目的・活用方法はあまり知られていないかと思います。

そこで、今回は実際にビジネスシーンでのSTB活用事例として以下の5つをまとめてご紹介致します。

 ○ホテル客室のVOD配信
 ○オフィスにおけるテレビ会議システム
 ○観光施設・病院・店舗におけるデジタルサイネージ
 ○ホテルや家庭のAIルームコントローラー(IoTゲートウェイ)
 ○民泊運営企業向けデバイス

事例1:ホテル客室のVOD配信

ホテルや旅館など、宿泊施設の客室にテレビモニターが設置されているのを目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。STBは、これらのテレビモニターから宿泊客がVOD配信を楽しむことができるよう、放送の受信・配信を行うことが可能です。

VODは通常のテレビ放送と違って、視聴者がコンテンツメニューの中から自由に閲覧するコンテンツを選択できるという利点があります。
映画、ドラマ、お笑い番組や料理番組など様々なジャンルのコンテンツからユーザーが興味・関心のあるコンテンツを自由に視聴可能なため、客室でVODが閲覧できるようになると顧客それぞれの興味関心に合わせた娯楽サービスを提供することができ、顧客満足度の向上などの効果が見込めます。

また、ゲーム・カラオケ機能付きのSTBを設置すれば、宿泊客にさらなる娯楽を提供することも可能です。

 

事例2:オフィスにおける『テレビ会議システム』

ビジネスシーンにおいて、昨今はテレビ会議を行うシーンも増加しました。
利用シーンとして、例えば以下のような場面が考えられます。

 ○遠方に拠点があり訪問が難しい会社との商談
 ○忙しくて中々全員が集まることのできない役員会議
 ○海外の拠点との会議や合同研修
 ○自宅で仕事をするデザイナー・エンジニアとのやり取り
 ○遠方に住む人材とのWEB面接

これらの会議をストレス無く円滑に進行するためには、通信が高速で常に安定し映像や音声が乱れないということが欠かせません。紙に書いた資料を映したりジェスチャーを用いた説明を交えたりする場合は特に、画質も高品質なものが必要です。

インターネットを使用して無料でテレビ電話が可能なサービスもいくつか存在していますが、映像や音声の品質に難点があり通信が不安定でその度に会議や連絡が途切れてしまうことがあるなど、業務効率を著しく下げてしまっているケースも少なくありません。

放送の受信・配信に特化したSTBなら、高画質・高音質で安定的な映像配信を行うための性能が備わっており、複数拠点を簡単且つスムースに繋げることが可能です。
なかには、STBにカメラが内蔵されたテレビ会議専用のSTB製品なども存在しています。

事例3:観光施設・病院・店舗など各種施設における『デジタルサイネージ』

デジタルサイネージへコンテンツを配信する役割も、STBが担うことができます。

飲食店・小売店であれば、店頭でメニュー・おすすめ商品・キャンペーン情報などを配信したり、あるいは観光施設や医療クリニックなどであれば、お知らせ情報・注意喚起情報を配信したりと、さまざまな使い方ができるデジタルサイネージ。

いずれの用途でも、デジタルサイネージを利用する際は映像・画像などの配信コンテンツの配信スケジュールを組んで配信をセットする必要があります。
その際に配信を制御する役割をSTBが担います。

事例4:ホテルや家庭の『AIルームコントローラー(IoTゲートウェイ)』

STBに追加できる機能の1つに「機器制御機能」というものがあります。

この「機器制御機能」と「情報の受信・発信機能」を用いて、STBをAIルームコントローラー(IoTゲートウェイ)として活用可能です。

「IoTゲートウェイ」とは、スマート家電などのインターネットに接続された機器・設備の制御を一箇所にまとめておこない、遠隔操作・管理できるようにするために外部ネットワークと家庭内・施設内におけるネットワークとを中継する機能のことです。

このようなIoT機器を一元制御する機能を持った機器を「IoTコントローラー」と呼び、その中でも家電・設備を自動で制御・コントロールする機能を持ったものを「AIルームコントローラー」と呼んでいます。

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STBをAIルームコントローラー(IoTゲートウェイ)として活用すると、照明設備・空調設備・テレビ・カーテン…など、インターネットに接続された機器・設備を、スマートフォンやAIスピーカー・ウェアラブルデバイスなどの端末から遠隔操作可能にしたり、稼働状況を監視したりできます。

全ての機器の稼働状況や状態の情報を蓄積できるので、不備・不具合の発見や稼働の最適化などに役立てられるほか、例えば空調設備なら「センサーから受信した温度・湿度等の情報を自動処理して、室温を最適に保つ」というような、機器の自動制御にも応用できます。

事例5:民泊運営企業向けデバイスの『IoTコントローラー』

事例4と同じく「IoTコントローラー」としての機能を活用すれば、STBは民泊運営事業の課題解決にも役立ちます。

その『課題』とは、ルームキーの受け渡しにおける手間と安全面における問題と、本人確認における問題です。

多くの民泊事業の場合、部屋の鍵の受け渡しは民泊ホストが宿泊者に直接手渡しをするか、郵便受けなどの指定の場所に鍵を隠しておき宿泊者に隠し場所を連絡するなどといった方法で行われています。しかし、これでは民泊ホストは宿泊施設や鍵の受け渡し場所までわざわざ出向かなくてはなりません。なによりもセキュリティの面で問題があります。

民泊ホストが宿泊者に直接手渡しをする場合でも、お互いに顔を知らない相手と会うため待ち合わせが不安だという声もあるでしょう。

また鍵を受け渡した相手や当日宿泊施設へ来たお客様が予約者本人であるか確認するために、これまではさまざまな本人確認書類の受け渡しを必要とするやり方が一般的でしたが、これが民泊ホストの手間の増加・宿泊者のスムースなチェックインの妨げなどといった課題にもなっていました。

そこで解決策として、玄関に顔認証機器を設置して入室前にその場で本人確認・電子鍵の発行をおこなうという方法があります。この仕組みなら、鍵の受け渡しと本人確認において発生していた課題を同時に解消できます。

このシステムの実現には、顔認証機器と監視カメラ・ドアなどをIoTでインターネット接続して、機器からの情報をリアルタイム取得することが欠かせません。その際の機器の制御と情報の一元化の役割を「IoTコントローラー」の機能を持ったSTBが担うことができます。

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おわりに

以上のように、STBはさまざまなビジネスシーンで活用が進んでいます。目的・用途に合わせて必要な機能がカスタマイズされたSTBを導入すれば、顧客へ提供するサービスの充実や設備のIoT化など、さまざまな事業メリットが見込めます。

是非、これらの事例を参考に、皆さまもSTBを活用した業務効率化や新しいサービスの提供などを検討されてみてはいかがでしょうか。

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