【OMO×IoT】小売店舗の「お客さま評価」をリアルとアプリで完全可視化 「店舗の星」の新戦略

トラース・オン・プロダクトはこれまで、流通小売店舗向けのDX製品「店舗の星」を通じて実店舗における商品の顧客評価の可視化に取り組んできました。
商品棚の前に電子ペーパーのパネルを設置し、インターネット上から集めたその商品の評価を星(★)と点数でリアルタイムに表示する「店舗の星」の仕組みは、海外の大手小売チェーンへの導入実績を積み重ねています。
消費者の購買行動は変化し続けています。商品を選ぶ際にスマートフォンで口コミを調べることが当たり前になった現在、実店舗においても同様の情報環境が求められるようになっています。
本記事では、こうした消費者行動の変化を整理するとともに、OMOという考え方と「店舗の星」が果たす役割について解説します。

物価高と消費の二極化——嗜好品に求められる「納得の根拠」
物価高が続く中、消費者の行動にも変化が起きています。デロイト トーマツが2025年4月に全国の男女5,000人を対象に実施した「国内消費者意識・購買行動調査」によると、この数年で変化した価値観として「節約と贅沢のメリハリをつけるようになった」と回答した層が最も多く、節約志向が高まる一方で、贅沢品をしっかり選んで購入する「メリハリ消費」が広く浸透していることが示されています。(出典:デロイト トーマツ「2025年度 国内消費者意識・購買行動調査」)
消費者は「安ければ何でも良い」のではなく、こだわりのある嗜好品にはお金をかけ、そうでないものは徹底的に節約するようになっています。この傾向は、ワインやコスメ、酒類など選択肢が多い嗜好品において特に顕著です。
こだわりに対してはお金をかけますが、消費者は「なぜこれを選ぶのか」という納得の根拠をより強く求めるようになっています。価格が上がるほど、購入の判断にかかるハードルも上がります。店頭で手に取った商品が本当に良いものかどうか、その場で確認できる情報がなければ、購入を見送るケースも少なくありません。
この「納得の根拠」を店頭で提供することが、今の小売業に求められている重要な役割のひとつと言えるでしょう。
消費者の購買判断を支える「口コミ情報」と実店舗の情報格差
消費者庁の調査(2023年度「消費者白書」)によると、「インターネット上の口コミや評価を参考に商品を選ぶ」と回答した人は70.1%に上ります。また、オンラインショッピングでレビューが購入の決め手になった経験を持つ人は約97%に達するという調査結果もあります(株式会社TOKYO GATE「2024年版オンラインショッピングにおけるレビューに関する調査結果レポート」(2025年実施))。
口コミや評価情報は、消費者の購買判断において欠かせない要素となっています。ECサイトでは商品ページに商品の評価が表示されており、消費者はそれを見ながら購入を判断します。しかし実店舗では、ECサイトと同じように商品の情報をその場で得ようとすると、スマートフォンを取り出して検索する手間がかかります。
こうしたインターネット上の情報と実店舗の情報格差は、現在の小売業が向き合う課題のひとつとなっています。
店舗の星が扱う「OMO」とは何か——オンラインとオフラインを融合

(図1:OMOが目指すシームレスな購買体験)
この情報格差を解消する考え方として注目されているのが、OMO(Online Merges with Offline)です。OMOは「オンラインとオフラインの融合」を意味します。
OMOと似た言葉にO2O(Online to Offline)があります。O2Oは「ネット上で集客し、実店舗に誘導する」一方向のアプローチです。例えば、ネット広告を見てクーポンを持って来店する行動が当てはまります。
OMOは、オンラインとオフラインを別々のものとして捉えるのではなく、境界線そのものをなくす発想です。来店前にアプリで商品情報を調べ、店頭で実物を確認し、購入後にレビューを投稿する。この一連の体験をひとつにつなぐことを目指します。消費者がインターネットで買う場合も店舗で買う場合も同じように情報にアクセスできる状態がOMOの目指す姿です。
インバウンド需要の高まりやECとリアル店舗の競争が激化する中で、小売業においてOMOは重要な戦略のひとつとなっています。
IoTと電子ペーパーでOMOを実店舗に実装する

(図2:店舗の星 設置イメージ)
OMOを実店舗で実現するための手段として活用されているのが、IoT技術と電子ペーパーです。
電子ペーパーは、近年スーパーマーケットの商品棚で見かけることが増えています。薄型のディスプレイの値札が電子表示されているものを見かけた人も多いかもしれません。従来の紙の値札と異なり、システムから一括で表示内容を更新できます。消費電力が少なく、屋内照明下でも見やすい特徴から、小売業での価格表示を中心に普及が進んでいます。
「店舗の星」は、この電子ペーパーを価格表示ではなく「顧客評価の表示」に活用したシステムです。インターネット上に散在する商品の評価をクラウドシステムが自動収集し、商品棚のパネルに星「★」の数と総合点数でリアルタイムに表示します。お客様は商品の前に立つだけで、その商品がネット上でどう評価されているかを確認できます。
特許技術が証明する独自性
「店舗の星」は、消費者評価情報表示システムとして日本の特許を取得しています(特許第7336112号)。ネット上の消費者評価を収集・集約し、実店舗の商品ごとにリアルタイムで紐づけて表示する一連の仕組みは、国内でも前例のない独自のものです。またPCT国際特許申請により、今後の海外展開予定国への移行手続きも進められています。
国内外の大手小売店への導入実績
「店舗の星」はすでに、国内外の大手小売チェーンへの導入が実現しています。国内では大手ディスカウントストアチェーンの複数店舗に設置され、海外でもシンガポールをはじめとする東南アジアの大手小売チェーンでの導入が進んでいます。大規模な実店舗での実際の運用実績は、この仕組みの実用性を裏付けるものです。
数字で見る導入効果―15%を超える売上上昇も

(図3:店舗の星 導入効果)
東南アジアの大型店舗での実績として、「店舗の星」を導入した商品の80%超で売上が増加し、商品棚全体でも15%を超える売上上昇が確認されています。特にワインや酒類、コスメなど、選択肢が多く選ぶのに迷いやすい嗜好品での効果が顕著に表れています。
「店舗の星」が売上に貢献する仕組み
一般に小売店舗の売上は、「売上=来店客数×客単価×来店頻度」で表すことができます。売上を上げるためには、来店客数・客単価・来店頻度の3つのうちどれかを高める施策が必要です。来店客数であれば広告施策、来店頻度であれば特売日の設定やファンづくりが代表的な手段です。
「店舗の星」が主に貢献するのは、来店頻度の向上と客単価の向上です。
評価情報は最新の情報が自動でアップデートされ、来店するごとに新しい評価を確認できます。また、評価情報によってお客様が迷っていた商品を選ぶ後押しができるだけでなく、「評価の高い別の商品も試してみよう」という気持ちを引き出す効果もあります。これがアップセル(より上位の商品や高価格帯商品を提案し購入してもらう)やクロスセル(関連する商品を提案し、あわせて購入してもらう)につながり、1回の来店あたりの購入金額を高めることに貢献します。

(図4:店舗の星 効果可視化のイメージ)
さらに、クラウド上にあるダッシュボードを通じてPOSデータと連動させることで、日ごとの売上推移や商品価格、粗利の変化を“見える化”することができます。事前に立てた仮説を数値で検証し、次の施策につなげるサイクルを作る支援ツールとしての役割も担います。
店舗アプリへのアドオンで「完全なOMOソリューション」へ
「店舗の星」は現在、次のステップへのバージョンアップを進めています。店頭のパネル表示は来店中のお客様に届きますが、来店前や帰宅後にも評価情報に触れられる仕組みは、より完全なOMO体験のために必要です。その課題に対応するのが、店舗の既存アプリへのアドオンによる機能拡張です。
アドオンとは、すでに動いているアプリやシステムに、新しい機能を後から追加することを意味します。ゼロから新しいアプリを開発する必要がないため、店舗側の導入負担を抑えながら機能を拡張できます。お客様も使い慣れた店舗アプリをそのまま使い続けられます。
「店舗の星」をアプリに組み込むことで、店舗の会員アプリ上でも商品の口コミや評価を確認できるようになります。来店前にアプリで気になる商品のレビューを確認し、店頭では電子ペーパーのパネルで評価を確かめながら選ぶ。購入後は自分が買った商品の他者評価をアプリで見て、次に試したい商品を見つける。この一連の体験がひとつの流れとして成立します。

(図5:アプリ連携によるOMOソリューションのイメージ)
店頭の評価表示とアプリでの口コミ可視化が一体となることで、「店舗の星」は来店前・来店中・帰宅後のすべてをカバーする、完全なOMOソリューションとして機能します。
トラース・オン・プロダクトは、電子ペーパー端末などのハードウェア設計・製造から、クラウドシステム、アプリ開発まで自社で一気通貫して担える体制を持っています。IoTシステムの導入では通常、複数の企業が関与し調整コストが生じますが、一社に問い合わせれば済む体制は、導入後の運用においても大きなメリットとなるでしょう。
「店舗の星」の導入を検討する際のポイント
「店舗の星」は、すべての商品に同じように効果が出るわけではありません。特に効果が期待できるのは、ワイン・日本酒・コスメ・サプリメントなど、選択肢が多く迷いやすい嗜好品、新商品やプライベートブランドなど、まだ認知が浸透していない商品、価格帯が高く購入を慎重に判断したい商品などです。
導入形態は、端末や設備を店舗側に無償で提供し、設置枚数に応じたサービス利用料を月額で支払うサブスクリプション型のモデルが採用されています。大きな初期投資をかけずに導入を始められる点は、検討のハードルを下げる要素のひとつです。
具体的な費用や自社店舗への適性については、個別の状況によって異なります。それぞれの店舗に応じたきめ細かい調整を行います。詳細はトラース・オン・プロダクトまでお問い合わせください。
まとめ
本記事では、物価高と消費の二極化という消費者行動の変化を起点に、OMOという考え方と「店舗の星」が果たす役割について解説しました。
メリハリ消費が浸透する中で、嗜好品を選ぶ消費者が求めるのは「納得の根拠」です。「店舗の星」は、特許技術に裏付けられた電子ペーパーによる評価表示と、店舗アプリへのアドオン連携を組み合わせることで、来店前から帰宅後までをカバーするOMOソリューションを実現しています。また、POSデータとの連動による仮説検証サイクルを通じて、売上改善のためのデータ活用も支援します。
実店舗でのDX推進を検討されている方は、ぜひお問い合わせください。
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