“コンテンツ提供”から“視聴体験”へ 変わるホテルVODサービスの役割

2026年5月3日
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“コンテンツ提供”から“視聴体験”へ 変わるホテルVODサービスの役割

トラース・オン・プロダクトは、これまで20万室以上のビデオ視聴端末をホテルに提供してきました。映像再現装置の分野では老舗の開発メーカーです。しかし近年、ホテルにおける客室サービスは大きく変化しています。VOD(ビデオ・オン・デマンド)は、かつては有料映画などを提供する“娯楽サービス”として利用されてきましたが、スマートフォンの普及や動画配信サービスの拡大により、その役割は見直されつつあります。

一方で、宿泊客が自身のスマートフォンを活用し、客室のテレビで動画を楽しみたいというニーズはむしろ高まっています。こうした背景の中で、STB(セットトップボックス)を活用した新たな仕組みが注目を集めています。

本記事では、ホテルVODのこれまでの変遷を整理するとともに、現在求められているホテルでの視聴体験や、STBが果たす役割について分かりやすく解説します。

 

ホテルVODのこれまで―娯楽サービスとしての役割

(図1:ホテルVODのイメージ)

VOD(ビデオ・オン・デマンド)とは、映画や動画などの映像コンテンツを、見たいときに自由に再生して視聴できるサービスのことを言います。テレビ放送のように決まった時間に視聴するのではなく、利用者のタイミングでコンテンツを楽しめる点が特徴です。

かつてホテルにおけるVODは、有料コンテンツを提供する娯楽サービスとして広く活用されてきました。客室のテレビを通じてさまざまなジャンルの映画やドラマなどの各種映像コンテンツを視聴できる仕組みは、宿泊者の満足度向上に寄与するとともに、ホテルにとっては客単価向上の手段のひとつとして位置づけられてきました。

特にビジネスホテルを中心にVODの導入が進み、出張時の余暇時間を過ごす手段として高いニーズが存在していました。客室内で映像コンテンツを楽しむ手段が限られていたこともあり、VODは“あれば便利なサービス”として定着していきました。

 

なぜVODは縮小したのか―視聴スタイルの変化

一定の役割を果たしてきたホテルVODでしたが、近年その利用シーンは大きく変化しています。その背景にあるのが、利用者の視聴スタイルの変化です。

特に大きな転換点となったのがコロナ禍です。外出自粛や在宅勤務などで自宅で過ごす時間が増えたことにより、YouTubeやNetflixなどの動画配信サービスの利用が急速に広がりました。スマートフォンやタブレットを使って、好きなコンテンツをいつでもどこでも視聴するスタイルが一気に定着したのです。

その結果、ホテルに宿泊する際も、ホテル側が用意したVODコンテンツを見るのではなく、自分のスマートフォンやタブレットで好きなコンテンツを視聴することが多くなりました。見たい作品を自由に選べる点や、操作に慣れている点などから、従来のVODサービスをあえて利用する理由が薄れていったと考えられます。

また、スマートフォンの普及により、客室のテレビを使わずに動画を視聴することも一般的になりました。これにより「客室で映像を見る=テレビを使う」という前提も変わりつつあります。

求められる役割が変わったホテルVODはコロナ禍をきっかけにその変化が一気に加速し、従来とは異なる形での価値が求められるようになっています。

 

現在のホテルVODのニーズ―“ホテルでも家と同じように楽しみたい”

スマートフォンやタブレットでの動画視聴が一般的になった一方で、客室のテレビがまったく使われなくなったわけではありません。むしろ近年では、「自分のスマートフォンにあるコンテンツを、自宅と同じようにテレビの大画面で楽しみたい」というニーズが高まっています。

最近は自宅のテレビでも手軽にYouTubeやNetflixにアクセスし、自分のスマートフォンのアカウントと連携できるようになってきました。旅行や出張時など、ホテル客室で過ごす時間においても、自宅と同じようにリラックスしながら映像コンテンツを楽しめることは、新たな宿泊体験のひとつであると考えられています。

YouTubeやNetflixなどの動画配信サービスを日常的に利用する人からは「普段と同じように、自分のアカウントでコンテンツを視聴したい」という意識も高まっています。こうしたホテルでの利用スタイルは、今後さらに一般的なものとなっていくでしょう。

このように、現在の宿泊客が求めているのは、ホテルが用意したコンテンツそのものではなく、「自分のコンテンツを、快適にリラックスして楽しめる環境」であると言えます。

 

ニーズを支える仕組み―STBによる連携

(図2:ホテルVOD環境のイメージ)

「自分のコンテンツを自宅と同じようにテレビで楽しみたい」というニーズを実現する手段として、注目されているのがSTB(セットトップボックス)を活用した仕組みです。STB自体は従来のホテルVODにおいても映像配信を支える基盤として活用されてきましたが、新しいニーズでも重要な役割を担っています。

STBとは、テレビに接続することで放送の受信や配信を行う機器のことを言います。近年ではより高性能な小型コンピューター化したことにより、Wi-Fiと接続してインターネット通信を行い、各種コンテンツ配信やIoTゲートウェイとしての役割を担うなど、高い機能を持つ機器に進化しています。ホテルでは客室のテレビとホテルのネットワークをつなぐ役割を担い、映像配信や各種機能を提供する基盤として活用されています。

STB(セットトップボックス)のビジネス活用・導入事例まとめ

STBを活用することで、宿泊客のスマートフォンと客室のテレビを連携させることが可能になります。具体的には、同一のWi-Fiネットワークに接続した状態で、スマートフォンからテレビへ映像を送信する「キャスト機能」などを利用し、自分の端末にあるコンテンツをそのままテレビに映し出すことができます。

(図3:STBを用いたホテルVOD環境のイメージ)

ホテル向けに設計されたSTBは、セキュリティや運用面にも配慮されています。例えば、利用後に自動でアカウントなどの接続情報をリセットする仕組みや、客室ごとにネットワークを分離する機能などがあり、宿泊客が安心して利用できる環境を実現しています。

さらにSTBによるVODは、複数の客室に設置された機器をホテル側で一元的に管理できるため、ホテル側にとっても運用負荷を抑えながら安定したサービス提供が可能になります。このように、STBは単なる映像配信機器ではなく、宿泊客の視聴体験とホテルの運用の双方を支える重要な役割を担っています。

 

VODはどう変わったのか―“コンテンツ”から“体験”へ

ここまで見てきたように、ホテルにおけるVODは、従来のようにコンテンツそのものを提供するサービスから、その役割を大きく変えつつあります。

かつてのVODは、ホテル側が用意した映画や映像コンテンツを視聴する“娯楽サービス”としての位置づけが中心でした。しかし現在では、宿泊客自身が利用している動画配信サービスを、家にいるかのように客室で快適に利用できる環境が求められるように変わっています。

これからのVODに求められるのは「何を見せるか」ではなく、「どのように見られるか」という点にあるとも言えます。コンテンツの提供主体がホテルから利用者へ移ったことで、VODの価値は“コンテンツ”から“視聴体験”へとシフトしているとも言えるでしょう。

こうした変化に対応するためには、単に映像を配信するだけでなく、スマートフォンとの連携や操作のしやすさなど、利用者がストレスなくコンテンツを楽しめる環境を整えることが重要になります。このように、ホテルVODは形を変えながらも、宿泊体験を支える重要な要素として進化を続けています。

 

これからのホテルVODに求められる視点―“ホテルでも普段と同じように“

(図4:新しいホテルVODのイメージ)

これからのホテルVODにおいて求められるのは、宿泊客が自分のスタイルで快適にコンテンツを楽しめる環境を整えることです。スマートフォンを起点とした視聴が一般化した現在においては、「ホテルでも普段と同じように使えること」が大きな価値となります。

具体的には、スマートフォンとテレビのスムーズな連携、VODを直感的に操作できる仕組み、安定した通信環境の整備などが重要な要素となります。また、ログイン情報が残らない仕組みや適切なネットワーク管理といったセキュリティ面への配慮も、お客様に安心して利用してもらうために欠かせません。

また、システムのユニバーサルデザイン化も視聴体験の重要な要素です。訪日外国人観光客の増加、少子高齢化による高齢者の増加などを踏まえ、年齢や障害の有無、国籍に関わらず誰でも初めてでも使いやすいシステム設計であることは、ホテルでの新しい視聴体験の土台となるものです。

さらにホテル側にとっても、複数の客室を効率的に管理できることや運用負荷を抑えながら安定したサービスを提供できることは重要なポイントとなります。

このように、これからのホテルVODは、利用者の体験とホテルの運用の両面を踏まえながら、総合的に価値を提供していくことが求められています。

 

まとめ―トラース・オン・プロダクトのホテルVOD戦略

本記事では、ホテルVODのこれまでの役割と、その変化の背景について整理してきました。

かつては有料コンテンツを提供する娯楽サービスとして活用されてきたVODですが、スマートフォンや動画配信サービスの普及により、宿泊客の視聴スタイルは大きく変化しました。現在では「自分のコンテンツを、自分のスタイルで楽しむ」というニーズが一般的になっています。

こうした変化の中で、ホテルVODに求められる役割も、「コンテンツの提供」から「視聴体験の提供」へと移り変わっています。STBを活用したスマートフォンとテレビの連携は、その新たな視聴体験を支える仕組みのひとつと言えるでしょう。今後は、単なる映像サービスにとどまらず、宿泊客の満足度向上や快適な滞在体験を支える要素として、ホテルVODのあり方がさらに進化していくことが期待されます。

(図5:トラース・オン・プロダクトのホテルVOD戦略)

トラース・オン・プロダクトでは、これまでの実績を生かし、新しいホテルVODソリューションを提供します。ネットワークやセキュリティなど、ホテルに宿泊するお客様に安心してご利用いただける環境を提供し、今ホテルに生まれつつある新しいニーズに対応してまいります。サービス内容の詳細については当社までお問い合わせください。

 

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