【迫る2024年問題】物流業界をDX化するウェアラブルデバイスとは
2024年4月からトラックドライバーに対して時間外労働の上限規制が導入されることに伴い、様々な影響が問題視されている「2024年問題」。その影響は運送会社に留まらず物流倉庫にとっても必至。荷待ち時間の削減などを求められることも想定されるため、いかに生産性を向上させるかが重要となります。
2021年6月に閣議決定された「総合物流施策大綱」では、物流業の労働生産性を2025年度までに2018年度比2割程度向上させるとの指標が設けられています。そのカギをにぎるのが、IoTを活用した「倉庫内作業の自動化」。
本記事では大手物流倉庫が導入して成果をあげているウェアラブルデバイスを活用した生産性向上事例をご紹介します。
政府も推し進める物流業界のDX化
[図1:物流業界 イメージ画像]
さまざまな業界でDX化による業務効率化が進む中、物流業界はいまだ紙やFAXなどでのやりとりが主流で、デジタル化があまり進んでいないのが現状です。
国交省では、迫りくる「2024年問題」の対策のため、物流事業者における実態調査を行い、デジタル化により生産性を向上させた企業の事例などをまとめた『物流業務のデジタル化の手引き』を公開するなどして物流業界のDX化を推し進めています。
調査では、大企業・中小企業ともに、「属人化」が起きている業務のデジタル化に取り組む事例が多いことが明らかに。業務が属人化していることで、担当者が変わる際の引継ぎにおけるリスクや採用への苦労、人材確保への課題感を感じている企業が多いようです。
参考:国土交通省「物流業務のデジタル化の手引き」
https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/seisakutokatsu_freight_tk1_000234.html
物流倉庫における生産性向上のポイント
[図2:物流倉庫 イメージ画像]
物流倉庫の生産性を上げるために、おさえておきたい2つのポイントが「入荷・出荷業務の効率化」と「属人的出荷作業の見直し」です。
業務の大きな割合を占める入荷・出荷業務を効率化させることで生産性が向上します。さらに、前述した「業務の属人化」による課題に対応することも、大きなポイントとなります。
✓入荷・出荷業務の効率化
└◎配送手続きのデジタル化で解決!
✓属人的出荷作業の見直し
└◎IoTによる従業員教育の簡略化で解決!
この2つのポイントを実現するために有効なのがIoTを活用したDX化です。大手物流倉庫などでは、ウェアラブルデバイスを活用した業務効率化も徐々に進んできています。
生産性を向上させるウェアラブルデバイスとは
[図3:ウェアラブルデバイス]
ウェアラブルデバイスとは、腕や頭など身体に装着して使用できるデバイスのこと。例えば、Apple Watchなどのスマートウォッチもそのひとつです。その機能はデバイスによって様々ですが、通話・通信機能のほか健康管理機能やGPS機能、電子決済機能などが一般的に良く知られているものですよね。
このウェアラブルデバイス、日常生活において格段に利便性をアップさせてくれることはもちろんですが、様々な業界で業務効率化のためのツールとして活躍します。
特に、腕に装着して使うことができるため両手が空くので、物流倉庫や工場の生産ラインなどで活用するのに適した製品です。大手物流倉庫でも導入している事例があります。
大手物流倉庫も導入する「Cygnus2(シグナスツー)」
ウェアラブルデバイスの一例として、大手物流倉庫でも導入されている製品「Cygnus2(シグナスツー)」をご紹介します。
[図4:Cygnus2(シグナスツー)概要]
Cygnus2の大きな特長のひとつが2.9インチ大画面タッチスクリーンです。イメージとしてはクレジットカードと同じくらいのサイズ感です。代表的なウェアラブルデバイスであるApple Watchの画面サイズが1.7~1.9インチ程度ですので、比較するとかなり大きいことが分かります。
[図5:Cygnus2(シグナスツー)着用イメージ]
この大画面タッチスクリーンにより、倉庫内作業などの現場においても操作性で不便さもなく、表示内容もしっかり確認できます。装着イメージを見ても、画面がかなり見やすいのが分かります。
また、長時間業務にも対応する2,700mAhバッテリーの搭載や、快適な通信を支える5GWiFi・SIM対応、健康管理ができるバイタルセンサーなどを搭載していることもポイントです。
ウェアラブルデバイス活用で生産性向上が実現可能に
[図6:業務効率化イメージ]
Cygnus2は利用用途に応じて各種アプリケーションを1つのデバイスに搭載することが可能です。つまり、オーダーメイドのシステムを作ることができるので、自社に合わせた業務効率化を実現します。
こんなことが可能です。
✓ハンズフリーによるピッキング作業の効率化
✓作業データを数値化し、生産性を見える化・改善
✓画面・音・バイブレーションによる作業指示の明確化と作業ミス防止
【活用例①】配送手続きのデジタル化で紙でのやり取りを削減!
では、実際の活用例を見ていきましょう。
いまだ紙の書類でのやり取りが多い物流業界。とくに物流倉庫では紙の伝票が主流で、業務効率の低下につながっています。紙ベースで行われていた配送手続きをデジタル化することで、大幅な業務の効率化が可能に。
例えば、紙で見ていた伝票をデジタル化し、Cygnus2に表示させながら作業するだけでもかなり効率化につながります。SDGsへの取り組みも求められる中、ペーパーレスにつながるDX化はぜひ取り入れていきたいですね。
【活用例②】IoT活用で従業員教育を効率化!ミス防止にも
ウェアラブルデバイスはミスの防止や従業員の教育にも活用することができます。
例えば、Cygnus2と指に着けるタイプのスキャナ(別製品)を連携させ、出荷の紙が出てきたらバーコードをスキャンすると、商品棚の場所と個数の指示が出るようなシステムを作ります。棚や個数を間違えたらエラーがでるように設定しておけばミスの削減につながります。
また、いちいちどこになにがあるかを覚える必要もないため、新入社員の教育の手間が省けます。属人化しやすい物流倉庫の課題もこれで解決できますね。
DX化で物流業界での女性活躍を後押し
[図7:物流業界 イメージ画像]
DX化による生産性向上は、人材確保においても大きなメリットとなります。物流業界で働く人の男女比率にはかなり大きな差があり、総務省統計局が実施した「労働力調査(基本集計)2022年(令和4年)平均結果要約」(※1)によると、運輸業・郵便業の就業者数は男性261万人に対して、女性は76万人。労働力不足も大きな課題となっている物流業界において、女性が働きやすい環境を作り女性活躍を後押しすることも重要です。
そのために、DX化による生産性向上は大きなポイントとなります。特に女性は、結婚・出産・育児などライフイベントによって働き方が大きく変化することが多いですよね。限られた時間の中でどう効率的に働けるか、産休育休時の引継ぎはスムーズにできるか、子どもの急病で仕事に穴をあけてしまったらどうすれば…など不安要素はたくさんあります。
そんな不安を解消するためにも、ウェアラブルデバイスなどを活用してDX化を推し進め、業務を効率化したり、属人化させずに引継ぎをスムーズにしたりしておくことで、女性が活躍しやすい職場環境を作り上げることができます。
ちなみに、生産工程の自動化などにより労働環境の改善が徐々に進んでいる製造業においては、女性従業者比率は中小企業で42.5%(※2)と女性も多く活躍しているようです。
Cygnus2はわかりやすい操作性でどなたでも簡単に使えるので、実際に導入している企業様の物流倉庫の現場でも、Cygnus2を活用しながら数多くの女性社員が活躍されています。
※1参考:総務省「労働力調査(基本集計) 2022年(令和4年)平均結果の要約」
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/ft/pdf/index1.pdf
※2参考:経済産業省「諸工業実態基本調査」
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/syokozi/result-2/h2c5kjaj.html
【事例】大手物流企業、Cygnus2 導入で棚戻しミスが10分の1に減少
[図7:Cygnus2(シグナスツー)業務効率化概要]
大手物流企業でCygnus2を導入したところ、棚戻しミスが10分の1、ピッキングミスが約半分に減少。人時生産性が20%向上するという大きな効果が得られました。
導入企業からは「わかりやすい画面・機能により棚戻しミスが減少し、出荷・棚卸時の工数も大幅に削減できた。ピッキングミスも約半分に減少し、オーバー・ショートといった数量違いがゼロに。ハンディと異なり、両手を使えるので並べ直しなどの余計な作業が不要になり1人当たりの1時間の生産性が約20%向上。操作が単純なため初心者でも即戦力で活躍でき、OJT工数も大幅に減少しました」といった声が寄せられています。また、作業をデータ化できるため、正確な生産性が計測できたり、情報照会のためにPC端末での操作が不要になったりするといった利点も。
【導入のメリット】
✓両手が使えるため並べ直しなどの作業が不要に
✓操作が簡単で初心者でも即戦力で活躍
✓情報照会の手間が省ける
✓作業をデータ化し生産性を計測できる
ウェアラブルデバイスの導入により、これだけの作業を省エネ化し、生産性を向上させることが可能となります。
物流業界に限らず多様なビジネス現場で活躍
今回は物流業界での活用事例をご紹介しましたが、同じデバイスであっても、オーダーメイドの使い方が可能なため、Cygnus2は様々なビジネスの現場で活躍します。
業務シーン別の具体的な活用事例をまとめたコラムも公開中です。ぜひご覧ください。
「ウェアラブルデバイスとは?ビジネス現場での活用が進む理由」
https://www.tranzas.co.jp/column/what-is-wearable-device/
迫りくる2024年問題。生産性向上が喫緊の課題となっている今、ウェアラブルデバイスの導入を検討してみてはいかがでしょうか 。お気軽にお問い合せください。
業務用ウェアラブルデバイス「Cygnus2」
https://www.tranzas.co.jp/lineup/cygnus/
お役立ち資料
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