デジタルサイネージ出荷3万台超「CELDIS」の技術と実績 台湾企業Coretronic社との新たな挑戦

世界のIoTデバイス数は、2023年の378億台から2027年には約584億台まで拡大すると見込まれています(総務省「令和7年版情報通信白書」、Omdiaのデータをもとにした推計)。なかでも工場やビル管理などの産業用途分野では、2023年から2026年にかけて年平均16.0%という高い成長率で伸びていく見通しです。
こうした成長を支えている技術のひとつが、エッジコンピュータ(STB)です。IoTの世界では様々なセンサーやカメラを使用して、環境や物の状態を見える化することでデータの蓄積が可能となり、さらにAI連携することで分析から最適解を導き出す仕組みを構築しています。
STBはIoTゲートウェイとして利用することで、IoTとクラウド技術の架け橋となる役割を担います。
トラース・オン・プロダクトでは、IoT技術とは別軸でデジタルサイネージの老舗として、長年企画運営を行っており、IoTとデジタルサイネージが融合した新しい製品開発を海外のパートナーと共に挑戦しています。
本記事では、同社が手がけるデジタルサイネージの技術と実績を紹介し、さらに新しく始まった企業との取り組みについて紹介します。

デジタルサイネージプラットフォーム「CELDIS」を支える技術の仕組み

(図1:CELDISの仕組みと強み)
デジタルサイネージを導入する際、画面となるディスプレイやLEDビジョンと映像を配信するシステムをそれぞれ別々に用意しなければならないケースも少なくありません。トラース・オン・プロダクトは、この両方を一つにまとめたデジタルサイネージプラットフォームとして「CELDIS(セルディス)」を提供しています。
CELDISは、次のような仕組みで動いています。
まず、ディスプレイやLEDビジョンなどの画面には「STB(セットトップボックス)」と呼ばれる小型のコンピューターが接続されています。STBはインターネットを通じて映像データを受け取り、画面に表示する役割を持っています。
一方で、画面に配信するコンテンツ内容の管理は「CMS(コンテンツ管理システム)」と呼ばれる仕組みで行います。
例えばあなたがデジタルサイネージの担当者だった場合、あなたはオフィスのパソコンからインターネットを通じてCMSにアクセスします。CMSではどの場所にある画面に、いつ、どんな映像を流すかを設定することができます。CMSによって店舗ごとに違うコンテンツ内容を配信することができ、時間帯によっても画面に表示される内容を切り替えることができます。
一般的には、こうしたIoT機器の開発はハードウェア・アプリ・クラウドシステムを別々の会社が担当することが多く、新しい機能を追加または修正するたびにそれぞれの会社同士で調整が必要になります。トラース・オン・プロダクトはこの3つすべてを自社で担当しているため、機能の改善や不具合の対応をスピーディーに行うことができます。LEDビジョン・モニター・タブレット・プロジェクターなど、機器の種類が変わっても1つのCMSからまとめて配信できるのも、この一気通貫の体制があってこそであると言えるでしょう。
「CELDIS」の実績が示すデジタルサイネージ普及の広がり
こうした技術の積み重ねにより、CELDISは2026年1月末時点で、全国約4,500箇所に設置され、出荷台数は約31,000台、導入実績は47都道府県に広がっています。CELDISには、用途に応じていくつかの製品があります。
・VIEW GATE:空間演出向けのLEDサイネージ
・BIRDEYES:店内販促向けの照射型(プロジェクター型)サイネージ。天井の補強や金具の取り付けが不要で、従来の天吊りサイネージが抱えていた設置面の課題を解決している
・L tablet:内蔵カメラで顔を認識し、視聴データを計測できるタブレット型サイネージ。「エッジコンピューティング」という、機器自体でデータを処理する技術を使うことで、個人を特定できる情報を外部のサーバーに送らずに済む設計になっている
・TOP905X4:LEDやマルチディスプレイで、より精細で美しい映像表現をするためのSTB機器

(図2:STATION Aiに設置されたデジタルサイネージ)
具体的な導入事例としては、2024年10月に名古屋で開業したソフトバンクの子会社が運営する国内最大規模のオープンイノベーション施設「STATION Ai」(延床面積約2.3万㎡)が挙げられます。施設内のデジタルサイネージについて相談を受け、CELDISの操作性や、設置からメンテナンスまでの一貫したサービス体制が評価され、採用に至りました。導入にあたっては、災害・緊急時に避難経路の案内を割り込み表示できる機能も新たに実装しています。
▼国内最大規模のオープンイノベーション施設「STATION Ai」へデジタルサイネージプラットフォーム「CELDIS(セルディス)」導入のお知らせ
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000036.000062901.html
このほか、大手携帯キャリアショップ約2,000店舗への導入など、多店舗展開でも採用が進んでいます。
大型LEDビジョン導入の実績
トラース・オン・プロダクトは、CELDISのようなプラットフォーム提供だけでなく、大型のLEDビジョンそのものを設置するプロジェクトにも取り組んできました。
Bリーグ・アリーナへの導入

(図3:アリーナに設置された大型LEDビジョン)
2022年、男子プロバスケットボールリーグ・Bリーグに所属するチームのホームアリーナに、天井から吊り下げる折り畳み式の大型LEDビジョンを導入しました。アリーナ中央には高さ5m、横幅15mの大きなビジョンを設置し、壁面にも全長51mのリボン状のビジョンを取り付けています。
映像の伝送には光ファイバーを使っており、電気信号よりも伝送速度が速く遅延が少ない特性を活かして、試合の動きに遅れることなく、臨場感のある映像を届けられるようになりました。
▼アダストリアみとアリーナにBリーグ最大※の大型LEDビジョンを導入
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000062901.html
大学施設への導入

(図4:大学施設に設置された大型LEDビジョン)
同じく2022年には、大学の施設に1面あたり231インチ、3面が連なった大型LEDビジョンと、LEDビジョンと連動する音響システムを導入しました。
このビジョンは「ピクセルピッチ2.5mm」という仕様です。ピクセルピッチとは、LEDの粒(画素)同士の間隔のことで、この数値が小さいほど近くで見ても粒が目立たず、精細な映像に見えるという特性があります。登壇者は手元のタブレット1つで、ビジョンや音響の電源、音量を操作できる設計になっており、講義や学術発表などで使いやすくなっています。
▼トラース・オン・プロダクト、広島大学へ3面大型LEDビジョン、連動音響システムを導入
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000015.000062901.html
デジタルサイネージで新しい挑戦:台湾Coretronic社との協業
2026年5月、トラース・オン・プロダクトは台湾の企業Coretronic Corporation(コアトロニック)と新しいデジタルサイネージ端末を共同で開発する契約を結びました。
Coretronic社は1992年に設立された映像・ディスプレイ・省エネ技術の分野で世界的に知られる企業で、資本金は日本円でおよそ187億円にのぼります。デジタルプロジェクターやLCDバックライトモジュールなど独自の映像特許技術を数多く持っています。
今回の協業では、両社が役割を分担します。Coretronic社は自社の映像特許技術を活かしたハードウェアの開発と、製品化が完了した後の製造を担当します。トラース・オン・プロダクトは、これまでデジタルサイネージ市場で培ってきた知見を活かして製品開発を主導・助言するとともに、自社のソフトウェアを最適化して提供し、国内の製造委託先企業への働きかけも担います。
なお、この協業で生まれる新しい端末はトラース・オン・プロダクト自身のブランドとしてではなく、Coretronic社や取引先企業のブランドとして販売される予定です。トラース・オン・プロダクトは、その裏側で使われるソフトウェアや配信システムを提供する役割を担います。
2026年6月 協業プロダクトを「DSJ2026」へ出展

(図5:DSJ2026に出展されたボール型サイネージ)
この協業を受けて進めてきたハードウェアの調整は、さっそく形になり始めています。2026年6月10日から12日にかけて、千葉県の幕張メッセで開催された国内最大級のデジタルサイネージの展示会「デジタルサイネージ ジャパン(DSJ)2026」に、トラース・オン・プロダクトも出展しました。
会場では、厚さ1.5mmという薄型のLEDサイネージが展示されました。また参考出品として、Coretronic社との協業プロダクトである「ボール型サイネージ」も披露されました。天井の照明器具にそのまま取り付けることができ、従来のサイネージのように専用の設置工事を必要としない点が特徴です。透過型のビジョンの奥にさらにビジョンを重ねる展示も行われ、表現の幅の広さを示していました。
まとめ
トラース・オン・プロダクトは、プラットフォーム「CELDIS」を軸に、STBとCMSを組み合わせた一気通貫の技術体制を築きながら、スポーツ施設や大学、オープンイノベーション施設などへの導入実績を幅広く積み重ねてきました。そして今、台湾のCoretronic社との協業も、新しい挑戦としてスタートしています。IoTと映像技術を組み合わせたデジタルサイネージが、これからどのように広がっていくのか、今後の取り組みに注目です。
お役立ち資料

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