音楽とビジネスの共通点

 私の週末の生活には楽器演奏が多くの時間を占めています。最近は、週末に国を移動する事が多く、なかなか演奏を楽しむ機会も多くはありません。しかし、ゆっくり過ごせる週末には、大抵なにかの楽器を演奏しています。

 今から2年前、トランザスの株式公開日に出演したCNBCの放送で、私は“会社とはオーケストラのようなものだ、最高の音楽を演奏してみたい”と述べております。これは、この週末の楽器演奏を通じて、ビジネスとの共通点を感じる事が多い為です。

 私の楽器演奏は、幼稚園の時に始めたピアノからスタートしています。その後、中学時代のバンドブームでギターを、トランザスバンド(忘年会の余興)ではドラムを始め、最近ではサックスフォンを吹き始めました。過去より、演奏ジャンルはパワー志向のハードロックやメタルが中心です。ピアノもアップテンポ中心でリストやラフマニノフが好みです。演奏テクニックを高める事が、なにより格好良く、難易度の高い曲ばかりに挑戦していたのが、今までの私の楽器演奏でした。

 しかし、昨年夏に始めたサックスフォンで私の音楽志向に変化が生まれました。ドラムを始めた時も、考え方への変化はあったものの、サックスフォンが気づかせてくれたものはそれ以上です。

 ちなみに、ドラムを始めた時に“なるほど”と思った事は、基礎訓練の大切さです。ドラムを始めていきなりツインペダルの曲に取り組んだ私は、すぐに左足が右足のようにコントロールできない事を思い知らされます。短時間で演奏できるよう、筋肉の使い方を研究し、いろんな練習方法を試しましたが、机上理論は意味をなさず、結局“基礎練習”で体に覚えさせる以外に上達方法は無いとの結論に至りました。急いだかいも無く、まともに“どこどこどこ”が出来るようになるまでに2年を費やすことになりました。

 昨年、購入したサックスフォンは、息子が読んでいた漫画“BLUE GIANT”の影響です。

 「単音しか出せない木管楽器って面白いのか?」この疑問を解消したくて始めたのが最初の動機です。やってみて、予想通り比較的早い段階で演奏は出来るようになりました。

 しかし・・ 単音演奏で初めて、私は“音の粒のクオリティー”という壁にぶつかります。マウスピースをくわえる唇の状態、強弱、息の強さ、量・・。恥ずかしながら、ピアノ、エレキギター、ベース、ドラムをやっているうちに、弾けた!の基準が演奏テクニックに偏り、一音一音のクオリティーへの拘りを長年忘れていた事に気づいたのです。

 大きな衝撃でした。何故か?ビジネスも同じだからです。一人一人の仕事の質、一つ一つの製品の質。特に海外へ軸足を移してからここ数年、会社が忘れそうになっているものが多い事に気づき恐怖に捕らわれました。格好良くビジネスはオーケストラだと言い放ってみたものの、音のクオリティーなくして聴衆に感動を与える事は無いでしょう。物事の本質は、基礎からの教育・鍛錬の上に形成され、万物は原理原則にある。私のモットーである、自然の摂理、原理原則に忠実に、トランザスのビジネスも一音一音の見直しを、今、再び始めております。